2013-04-27

龍を殺す

 宗教は、われわれの子供たちが合理的な教育を受けられないようにしている。宗教は、われわれが戦争の根本的な原因を取除くことを阻止している。宗教は古い峻烈な罪と罰の教義のかわりに、科学的協力の倫理をわれわれが教えられないようにしている。人類は黄金時代の入口にいるとも言えよう。しかし、もしそうだとするならば、まず第一にその扉を守つている龍を殺す必要がある。この龍の名は宗教である。

【『宗教は必要か』バートランド・ラッセル:大竹勝訳(荒地出版社、1959年)】

 キリスト社会で神にノーを突きつけることは、日本人の想像も及ばぬ勇気を必要とする。

アメリカのミネソタ大学の調査によると、ホモセクシャルやイスラム教のグループよりも、一番信頼がおけないのが無神論者のグループであると明らかになったそうです。

 私がバートランド・ラッセルに注目するのは、「アリストテレス以降、最大の論理学者」でありながら数学者でもあるためだ。宗教という宗教が時代に遅れをとったのは合理性を欠いたためであるが、合理性は論理というよりも数学として捉えるべきだ。科学といっても最終的には数学に収まると私は考える。21世紀は数学とプログラミングの時代であろう。

 新しい時代を阻む扉が人間精神を古い鋳型(いがた)に閉じ込める。自由のない世界は必然的に人間を抑圧する。古い教義に信者を縛りつける制度宗教・組織宗教はもう必要ない。

理性主義と神秘主義
バートランド・ラッセルによる自由人の十戒

宗教は必要か