2014-03-19

北朝鮮による拉致被害と公明党

 ・北朝鮮による拉致被害と公明党

社会党と拉致問題

 かつてこう書いたことがある。

 拉致被害者の中には学会員も含まれている。「国家に蹂躙(じゅうりん)される民」の姿は何一つ変わっていない。(2008年6月26日

 既に公になっているが、それは市川修一さんと増元るみ子さんである。付き合い始めたばかりの二人はデートの最中に拉致された。

 父の(増元)正一〈しょういち〉も、何もしてくれない政府や政党に対する怒りを、募(つの)らせていた。家族会に加わってみて、日本政府が北朝鮮の拉致という疑惑を早くから持っていながら、20年近く何も積極的に動いてこなかったということを知った。家族会結成後も、いくら訴えても国は必死に助け出してくれようとはしない。公明党の最高幹部が鹿児島を訪れたときには、正一は面会を求め、救出のために動いてくれるよう直接頼んでいる。その場では「はい、よくわかりました」と、とても色よい返事を貰(もら)ったが、その後は結局、何の音沙汰(おとさた)もなし。「あの党は何にもならん」――その後の正一は激しい怒りようだった。その正一の死後、件(くだん)の最高幹部から「鹿児島に行くので、仏前にお参りしたい」と連絡が入った。しかし、増元家では「いまさら来ていただいても何にもなりません。今後、拉致問題のために頑張っていただければうれしいです。ほかには何も言うことはありません」と来訪を断っている。

【『家族』北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(光文社、2003年)】

 この公明党最高幹部は浜四津敏子のようだ(弟・増元照明さんも怒る「公明党は学会員拉致被害者を見捨てた!」)。実名を伏せたところに増元家の配慮が窺える。浜四津の微妙な立場については辛淑玉〈シン・スゴ〉も書いている。

『怒らない人』辛淑玉

 るみ子さんの弟である照明さんが東京選挙区の参議院選挙に無所属で立候補した時、私は増元さんご一家が創価学会員であることを知った。その心情を思うといたたまれなくなった。政権与党の旨味(うまみ)には毒性がある。果たして公明党議員に立党の精神はあるだろうか? それとも下駄の雪に甘んじているのだろうか?

 創価学会員の公明党支援には凄まじいものがある。時には違法を犯してまで得票依頼に奔走する(事前運動、未成年者による政治活動、物品供与、電柱へのポスター貼付など)。しかし公明党は拉致被害者を無視した。

 確か1992~1993年であったと思うが池田は「金日成主席からも招聘状(しょうへいじょう)が届いている」と豪語したことがあった。北朝鮮には一定数の学会員がおり、古い学会出版物を見ると「南鮮、北鮮にも同志がいる」旨が書かれている。

 戸田城聖は「創価学会に入り1年間実践して功徳の証拠がなければ私の首をやろう」と言い切った。今、自分の首を賭ける創価学会首脳はいるか? いれば私がその首を掻(か)きにゆこう。

 尚、本書では市川さんが創価学会員であることには触れていない。


横田夫妻とキム・ウンギョンさんの面会が実現/『家族』北朝鮮による拉致被害者家族連絡会
拉致被害者 増元るみ子さん母親 信子さん(90)死去