・『重耳』宮城谷昌光
・『介子推』宮城谷昌光
・『晏子』宮城谷昌光
・『子産』宮城谷昌光
・『湖底の城 呉越春秋』宮城谷昌光
・『孟嘗君』宮城谷昌光
・『楽毅』宮城谷昌光
・日蓮と荀子
・『香乱記』宮城谷昌光
ここでいう孫子とは荀子のことである。日蓮は荀子の影響を受けていたのだろうか。
笑われた呂不韋〈りょふい〉は目に慍色(うんしょく)をだした。
「怒ったか。では、問おう。孫子の教義とするものは何か。仁義などではなく、わかりやすい例を挙げてみよ」
「孫子曰(いわ)く」
「む……」
「学は已(や)むべからず」
「む……」
「青はこれを藍より取れども藍よりも青く、冰(こおり)は水これを為(な)せども水よりも寒(つめ)たし」
「ほう」
「また孫子曰く」
男は黙ってしまった。
「高山に登らざれば天の高きを知らず、深谿(しんけい)に臨まざれば地の厚きを知らず、先王の遺言を聞かざれば学問の大なるを知らざるなり。さらに孫子曰く。神(しん)は道に化するより大なるは莫(な)く、福は禍の無きよりは莫し」
【『奇貨居くべし 春風篇』宮城谷昌光(中央公論新社、1997年/中公文庫、2002年/中公文庫新装版、2020年)】