ゴスペルの魅力はストレートな叫びとコーラスにある。元来の意味は good spell = good news (よき知らせ=福音)であるが、現代英語の Gospel(福音) は God + spell = word で「神の言葉」を表す。
ジャニタ・バイナムはゴスペルシンガーであり、テレビ宣教師(伝道師)でもある。歌は動画の中ほどから始まる。
お気づきになっただろうか? 熱狂する聴衆とは裏腹に演奏者が冷め切った表情をしていることに。「信仰を異にする」とはこういうことなのだ。
彼は牧師だ。
問題なのは、良い陶酔もあれば悪い陶酔もある、ということである。
【『解明される宗教 進化論的アプローチ』ダニエル・C・デネット:阿部文彦訳(青土社、2010年)以下同】
このような悪しき陶酔感をさます最善の方法は、陶酔状態にある人々を良い陶酔感(グッド・スペル)へと、神への陶酔(ゴッド・スペル)へと、福音(ゴスペル)へと、導くことかもしれない。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。