2013-01-28

法華経と等伯

 そう思っていくつかの経典に当たったが、難解な漢訳言葉にはばまれて目的を果たすことができなかった。
 その捜し求めていた世界が、植木さんが訳した『法華経』の中にきらびやかに広がっていた。
 そして等伯の「松林図屏風」も、そうした世界観に裏打ちされて成立したことが、ぼんやりと解(わか)り始めたのだった。

【直木賞に選ばれて 安倍龍太郎/毎日新聞 2013-01-14 夕刊】

法華経 上―梵漢和対照・現代語訳 法華経 下―梵漢和対照・現代語訳

「直木賞を待つ」安部龍太郎
植木雅俊