・三島由紀夫と永山則夫
永山則夫は連続射殺事件の犯人で既に死刑が執行された(1997年)。逮捕された時はまだ19歳であった。獄中で書いた『無知の涙』(合同出版、1971年)を読んで私は永山を知った。自分と同齢の犯罪者の叫びに圧倒された。何かに取り憑かれたような勢いが文章の至るところに感じられた。
父親は博奕(ばくち)に狂った。母親は永山に関心がなかった。完全なネグレクトで幼い永山に触れることすらしなかった。そしてまだ10歳にならぬうちから兄に虐待された。鼻血を出すか気絶するまで殴る手は止まらなかった。11歳の時、長女が堕胎した胎児の遺骸を埋めるようなことまでやらされている。面会に訪れた母親に永山は言った。「おふくろは俺を三度捨てた」と。母親は創価学会員だった。
無知の涙 (河出文庫―BUNGEI Collection)
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永山 則夫
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