2019-02-01

議員立法の怪

 驚くべきことに、保守合同前の自由党(今の自由党ではなくて、自由民主党ができる前の自由党です)増田甲子七幹事長が、自由党所属の議員からの法案提出は、党四役(幹事長、総務会長、政調会長、国対委員長)全ての署名がない限り、受理しないようにと、昭和二十七年四月二十四日付けの衆議院議事課長および議案課長宛の手紙で要請しているのです。

 そしてそれが悪しき前例となり、保守合同以後の自由民主党にも引き継がれ、今も自民党は幹事長が交代するたびに同様の手紙を衆議院事務総長宛に出し(最新の手紙は山崎拓幹事長から平成十三年四月二十五日付で)、衆議院事務局は、その手紙に基づいて、国会法五十六条の規定を無視して、党の承認の無い議員提案の受理を拒否しているのです。

 現在、他の政党も全て口頭で、党の承認のない議員立法の提案を受け付けないようにと事務局に申し出ており、国会法五十六条は、空文化しています。

河野太郎:ごまめの歯ぎしり 第20号『異議があります!』 議員立法の怪