これらに共通しているのは、安倍政権の持つ右翼ナショナリズム(宗教ナショナリズム)に創価学会、公明党が取り込まれようとしているとの認識であり、「本来の姿に立ち戻れ」という主張です。ここには安保法制に対して公明党がいかに歯止めをかけたかの事実認識が欠落しています。また、相も変らぬオールオアナッシングの政治観のみで、「第三の道」への視点、まなざしがありません。
【「第三の道」「中道」への無理解を解くための闘い:赤松正雄】
前段はいい。私の「神道=日本文化」論と変わらない。問題は後半である。まず基本的なことだが創価学会は「中道」を理解していない。公明党は仏法中道を掲げたものの、結局は右と左の中間的な意味合いに貶(おとし)めてしまった。中道とはブッダが悟った真理である。殆どの創価学会員はどういう場面で悟ったかすら知らないことだろう。天台の三諦説から導いた中諦(ちゅうたい)をあたかも本質論であるかのように教えてきたのが創価教学である。
私自身は国家の安全保障をアメリカに長らく依存してきた日本の政治姿勢には問題があると考える。国際社会の力学が明らかに変わりつつある。要はアメリカの没落と中国の台頭が凌(しの)ぎを削っているのだ。アメリカ国防省の予算は大幅に削減されているため、沖縄からの米軍撤退はほぼ間違いないものと思われる。そうすると中国を封じ込めるためには日本と台湾・ベトナム・フィリピンの軍事的協力を欠かすことができない。既に海上自衛隊潜水艦のフィリピン寄港や、海上自衛隊小型プロペラ練習機「TC90」をフィリピンに貸与することが報じられている。
日中戦争の具体化は尖閣諸島か南沙諸島と予想される。東京オリンピック前後で中国のバブル崩壊が始まり、中国共産党は民主化を防ぐためにも開戦へと舵を切らざるを得なくなる。ソ連は69年で滅んだ。中華人民共和国の建国は1949年だから2018年でソ連が死んだ年齢に達する。
そもそも国家の安全保障に仏教原理を用いることが相応(ふさわ)しいとは思えない。中道とは極論の否定である。苦行と享楽の否定にブッダの悟りがあった。まして鳩山親中派内閣が葬られた後で、中国との関係を良好にすることは難しいことだろう。しかも向こうは学校教育で日本に対する憎悪を徹底的に養成しているのだ。
歴史的に見ても多方面外交は失敗してきた。例えば吉田内閣の後を継いだ鳩山一郎のソ連外交が典型といえよう。
いずれにしても折伏逆化(しゃくぶくぎゃっけ)でやってきた創価学会が八正道と無縁であることは確かで、それにもかかわらず中道を説くのは片腹痛いと言わざるを得ない。
【浅沼稲次郎の右後ろにいるのは河野一郎】