2013-12-19

谷川副会長の独断に反発

 選挙モードに突入した創価学会から早くも不協和音が聞こえてくる。

 東京・信濃町の学会本部が改装される二〇一三年秋を待って会長への昇格が既定路線となっている谷川佳樹副会長と、ブレーンで今春の統一地方選後の、従来の「中選挙区復活」から「比例区重視」へと選挙制度改革論議を一気にシフトさせた佐藤浩広宣局長が二〇一三年の衆参と都議会のトリプル選挙に勝利し谷川体制を揺るぎないものにと狙っている。 さらにその背後で池田大作名誉会長の私生活から学会全体に係わる。〝裏の仕事〟を取り仕切り、弁護士で学会内からも「法匪」と揶揄されている八尋頼雄副会長が自らの立ち位置を探っているという。

 一方、谷川新体制誕生と共に、学会中枢から排除されるのではないかと、危機感を募らせている正木正明理事長が、前回の総選挙で小選挙区が全敗するなど、原田稔会長から選挙惨敗の責任を一身に負わされて更迭された力武副会長に急接近中とか。

 しかも、原田会長から今後の選挙全てを全権委任された佐藤局長が公明党・政務調査会を自由に操り、優秀な人材は学会本部職員として引き抜き選挙実務のプロとして重用していることで、長年学会組織選挙のマシーンの一端を担ってきた学会青年部が外されたことで、今年創立六十周年を迎えた青年部のメンツは丸つぶれとなり、幹部連中の怒りも収まりそうにないとのことで、ここでも正木氏を中心とする創価大人脈と青年部が反「谷川―佐藤」で奇妙な〝共同戦線〟が敷かれつつあるようだ。

 これを歯牙にも掛けない谷川副会長は、自ら総神奈川の総主事に、佐藤局長も総埼玉の中央参与と中部の方面中央参与に就き、神奈川、埼玉、愛知の、当落選上にある重点地区の陣頭指揮を執ると共に、衆院のみならず、参院の候補者選定にも着手。

 参院では神奈川選挙区で前回繰り上げ当選で辛うじて救われた松あきら副代表が早くも引退に追い込まれる運びとなり、また衆院でも本部が候補者差し換えを迫っていた兵庫8区の冬柴鉄三元国交相も引退。さらに谷口隆義元代議士が引退となった大阪5区には、大阪16区でリベンジを目指す北側一雄元幹事長の弁護士事務所に所属する若手弁護士の擁立がほぼ固まっている。

「波田地問題」が再浮上

 このように、谷川副会長らの独断に反発してい囁かれ始めているのが、五年前に学会本部職員の座を追われた「波田地問題」だという。

 当時聖教新聞社の企画部副部長だった波田地克利氏は、一九九一年に日蓮正宗から破門されて以来、教義で宗門を攻撃する「最大の論客」として鳴らしていたが、二〇〇六年六月、宗門側との討論の中で学会が信仰の対象にしてきた本尊に偽物の疑いがある、と発言したことで、突然創価学会をクビになり、当時は「創価学会の崇拝の対象が偽物であるという発言は正に信仰の本質に関わる問題で波田地追放もやむをえない措置」と学会内では受け取られていた。

 しかし、その後『週刊新潮』がこの「波田地問題」を念押しするかのように取り上げたことで(06年10月26日号)、インターネット上では当時の八尋頼雄副会長ら主流派の意向を受けた同会広報室の0部長による〝波田地追い落とし〟の謀略論がくすぶり続けていた。

 そして〝谷川会長就任近し〟と共に、「波田地問題」が再浮上。しかも「谷川氏の女性スキャンダルを知る波田地斬りが実は真相だった」(学会幹部)の解説付きで再燃しているだけに、谷川副会長の去就に注目が集まっている。

 特に波田地氏は創価大の同窓で、次期会長レースの谷川副会長のライバルだった正木理事長に極めて親しかっただけに、今回の「波田地問題」を機に、「正木vs谷川」のスキャンダル合戦で泥沼状態に発展するのではとの声も上がっている。

 一部には、「漁夫の利」を得る格好で、原田、谷川と同じ東大出身の萩本広報室長が次期会長の座を射止めるとの見方も浮上している。

【『中央ジャーナル』平成23年9月25日号】