2015-10-19

「体制に影響しない宗教」を求める中国共産党と「世界宗教」志向の創価学会、利害が一致=信者5000万人獲得も―作家・佐藤優氏が講演(2/3)

 2015年10月14日、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が「最近の日本外交」と題して、時事通信ホールで講演(新聞通信調査会主催)した。昨年11月に創価学会の教義が変更され、世界宗教となったと指摘。その上で、体制に悪影響を与えず社会問題の解決に貢献する宗教を求めている中国共産党と「世界宗教」路線を展開する創価学会の利害が一致する、との見方を示した。中国では簡単に5000万人の信者を獲得できるという。発言要旨は次の通り。



 公明党、創価学会の影響力が大きくなっており、外交分野だけではなく内政にも影響を与えている。マイナンバーを使った軽減税率の財務省案が公明党と読売新聞によって全面撤回された。

 あまり報じられていないが、昨年11月に創価学会の教義が変更され、「世界宗教」となった。仏教が東まで行き着き、西へ行かなければならないということになった。一方で公明党が創立50年記念誌で池田大作氏がグラビアを飾った。藤原弘達氏との対立以来創価学会が政教分離されていたが、初めて登場した。

 SGI(創価学会インタナショナル)のメンバーは韓国で150万人がおり、台湾には十数万人いる。これらの人たちは竹島や尖閣などで日本に猛抗議することもない。中国は外国の宗教を自由に認めておらず、キリスト教も、共産党系の天主教というカトリック団体の人事も、共産党が認める形で、バチカンと対立している。中国では一応マルクス・レーニン主義を掲げているが、資本主義体制になって誰も信用していない。社会の矛盾が広がり、法倫教、ウイグル・イスラム教、チベット仏教なども存在する。体制に悪影響を与えず社会問題の解決に貢献する宗教、共産党の国体に抵触しない形で貢献できる宗教として、創価学会は中国にとって魅力的である。創価学会から見ると、私見だが韓国の150万人を基準にすると、中国では簡単に5000万人を獲得できる。そうなると名実ともに世界宗教となる。

 その場合の死活的な必要条件は、日中の軍事紛争が起きないこと。安保法制化によって戦乱になり衝突の危険が増すことは、死活的利益に影響する。公明党・創価学会と中国との親密な関係は、このようなインテリジェンス分析をすれば理解できる。

 国際情勢も、日本は中国、韓国との間が難しくなり、読みにくくなっている。ナショナル(国家)の方が強くなっている。ポストモダン(近代の次)を考えなければならず、宗教の要素が大きい。9月にメッカの悪魔の柱で700人が将棋倒しになって死亡、イラン人が100人含まれていた。シーア派のイランはスンニのサウジはふさわしくないとミスを突いている。中東をはじめとする世界の動向には宗教が絡んでいる。

RecordChina 2015-10-18