2016-05-21

君が代を歌わない政治家

 ミッキー安川さんは、RFラジオ日本で人気番組を何本かもっていた。そのうち深夜に放送される「朝まで勝負」では、深夜0時の時報が鳴るとともに、ミッキーさん、スタッフとゲストが全員立ち上がり「君が代」を斉唱する。この番組に筆者が初めて出たとき、ミッキーさんがこう言った。

「あんたクリスチャンだよな。俺の番組では『君が代』を歌うけれど、問題ないよな」

「問題?」

「いや、歌いたくないならば、無理しなくていいから。ただ起立だけはしてほしいんだ」

「ミッキーさん、僕は日本のキリスト教徒ですよ。『君が代』を歌うのは当たり前じゃないですか。キリスト教徒だからこそ、目に見えないものに対する畏敬の念をもっています。天皇様の弥栄(いやさか)をお祈りするのは、当たり前じゃないですか」

 それを聞いて、ミッキーさんはにっこり笑った。そして、こう言った。

「政治家でも『君が代』を歌わない人がいるんだよ」

「誰ですか」

「例えば、菅直人さんだ。この番組のゲストで来てもらったんだけど、『君が代』は歌いたくないと言うんだ。俺は、それはわかったから、俺たちが『君が代』を歌う間は、立っていてくれと頼んだ」

「それでどうなりましたか」

「ちゃんと立ってたよ。ただ、俺は菅さんの態度は立派だと思うんだ。自分の信念で『君が代』を歌いたくないと思うならば、歌わないというのは、周囲の雰囲気に合わせて、ほんとうは歌いたくないと思っているのに、義理で歌うよりは政治家としてずっと誠実だよ」

 ミッキーさんは、寛容と多元性を尊重する日本の保守思想を体現した人だった。それだから、菅直人氏の「筋の通し方」を尊重し、かつ評価したのだ。

 内閣総理大臣は日本国家を政治的に体現する。菅氏も総理として「君が代」を唱うことになると思う。それは、「君が代」が国家であると法律に定められているからだ。しかし、菅氏の世界観において、「君が代」はどういう位置を占めているのだろうか?

佐藤優の地球を斬る:「畏敬の念」欠く新政権に不安 2010年6月7日

 国歌を歌わない者は左翼である。国家転覆を目指すのが左翼。