小泉さんは、まず手始めに肉のハンナンという会社を摘発した。野中さんの政治資金源を断つためです。
ハンナンは、もともと大阪府同和食肉事業協同組合から発展した会社です。同和問題というのは、いまでも日本の一種のタブーです。ご自身でも認めておられるように野中さん自身が同和の人です。
このハンナンを裏から支えていた政治家として、車を提供されていた鈴木宗男さんとか、九州の何とかとかいろいろいわれているのですが、その一番の支援者は、これこそ野中さんです。その政治力で、ハンナンに対しては、大阪国税局もいまだかつて国税調査に入ることもできなかったし、警察も検察も、何もできなかったといわれています。
【『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘(徳間書店、2006年)】
ここでの「ハンナン事件」は1987年の贈賄容疑ではなく、2001年から始まった牛肉偽装事件を指す。尚、食肉業界の闇は日本に限ったことではなくアメリカでも同様である(エリック・シュローサー著『ファストフードが世界を食いつくす』)。当時、ハンナングループは計60社、売上高は3000億円だった。
「九州の何とか」とは松本龍(民主党)のことだろう。
社会を揺るがした大きな事件が、実は政敵を葬るための謀(はかりごと)であったというのだから実に恐ろしい話だ。マスコミも一切報じていない。菅沼は公安調査庁(※公安警察ではない)で第二部長を務め、共産圏の情報分析を行ってきた人物だ。「日本で最後のスパイ」とも呼ばれる。
中丸薫女史はその筋では有名だが、簡単にトンデモ系と無視できないところがある。民間外交という点で見ても、創価学会の池田大作を凌駕する実績・人脈が窺える。