2015-03-09

ミルグラムのアイヒマン実験


 コミュニティというコミュニティは家族から国家に至るまで全てが閉ざされている事実を自覚する必要がある。各階層に国是・文化・不文律・社風・村の掟・タブー(禁忌)が存在する。そして大きな利権や強い結びつきがあるほど暗黙のルールが構造的に支配する。小室直樹は「下位文化が下位規範を成立する」と指摘している(『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹(ビジネス社、2012年)/カッパ・ビジネス、1989年『消費税の呪い 日本のデモクラシーが危ない』・天山文庫、1990年『悪魔の消費税』を改訂・改題)。

 スタンレー・ミルグラムがアイヒマン・テストによって人々が権威に従うメカニズムを明らかにしたのは私が生まれた1963年であった。『服従の心理』(原著、1974年/山形浩生訳、河出書房新社、2008年/同社岸田秀訳、1975年)は誰もがアイヒマンになる可能性があることを証明した。

 宗教団体における不文律・同調圧力は原子力ムラよりも強いことだろう。例えば創価学会における高額な財務や機関紙多部数購読などの自虐的行為は、宗教的権威に服従する信者の心理として見ればわかりやすい。遠藤孝紀は300ボルトの電流スイッチを押すことを拒否した。その本質を見逃してはなるまい。

 小室理論(『危機の構造 日本社会崩壊のモデル』)によれば、創価学会はこれから急性アノミー(無規範)を経験することになる。

【付記】九州の創価学会員にとっては投票依頼をする際の物品供与は常識である。これは地域的な下位文化のケースだ。もっとわかりやすい階層を示そう。創価学会の男子部があり、その中に創価班があり、更に創価班内部に学会本部担当がある。階層が下位になればなるほど規範が強くなる。また世間に目を転じると山口県連続殺人放火事件に強い下位規範を見出すことができよう。尚、動画ではコメンテーターが誰一人指摘しなかったが、テレビの世界は放送コードや台本で動いており、完璧な服従メカニズムが構築されている。


服従の心理 (河出文庫)消費税は民意を問うべし ―自主課税なき処にデモクラシーなし―

スタンレー・ミルグラム