2019-03-01

新しい歴史教科書をつくる会の内紛

 八木秀次が会長になった時、内紛があったようだ。初代会長を経て名誉会長を務めていた西尾幹二が「つくる会」から去ったのもこの時期である。西尾によれば、八木が反執行部に取り込まれたとのこと。この連中(新田均、勝岡寛次、内田智、宮崎正治)が実は生長の家右派系学生政治運動の出身者で気脈を通じていた。日本会議の事務総長・椛島有三〈かばしま・ゆうぞう〉や自民党の衛藤晟一〈えとう・せいいち〉も同運動に参加していたという。もともと保守というのは伝統を重んじる態度を示すものであって、さほどイデオロギー色はない。「つくる会」も当初は右翼の集まりと目されていたが、左に振れすぎた教科書内容を真ん中に戻す試みであった。ところがわずか3代目で党派性が持ち込まれたわけだ。西尾の落胆は大きかった。日本会議陰謀論は左翼の連中が描いたデタラメな構図だが、そういう誤解を招く妙な人脈があるのだろう。「つくる会」に混乱を招いた張本人の八木秀次は何と官房長官時代から安倍晋三の寵愛を受けているそうだ。

国家と謝罪―対日戦争の跫音が聞こえる
西尾 幹二
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