――都知事選の時に、自民党東京都連が出した文書についてどう思われましたか。
小泉純一郎:「小池百合子候補を現職議員の親戚を含めて応援したら除名」だと書いてありましたが、呆れましたね。新聞記者と会った時に「あの通達はひどいじゃないか」「俺が小池さんを応援したら、進次郎は除名するのか」と話しました。
前回の都知事選では、自公推薦の舛添要一さんではなく、私は細川護煕さんを応援しました。でも、今回のような話はありませんでした。「自民党は増田寛也候補を推薦しているから応援をお願いします」という文書ならわかりますが、「それ以外の候補を応援したら、現職議員の親戚が応援しても除名をする」というのだよ。笑ってしまったよ。仮に私が小池候補を応援したら、進次郎を除名できるのか(笑)。よく自民党はあんな通達を出したな。どうかしているのではないか。
【小泉元首相も呆れた! 「都知事選時の自民党東京都連はどうかしている」】
「除名が静かなブーム(笑)」でも紹介した通りである。昨今、コーポレート・ガバナンス(企業統治)なる言葉が持てはやされているが、内部統制の乱れは働く動機と帰属意識の乖離(かいり)に要因があると思われる。組織として意思統一を強いる行為自体が既に組織の弱体化を示すもので、除名という強硬さはどこか子供染みていて、かつての共産党を彷彿とさせる。
小池氏は現職衆議院議員だったが、自民党の推薦は得られなかった。その小池氏に対し、自民党東京都連は7月11日、「都知事選挙における党紀の保持について」と題する文書を党員に配布。党として増田寛也氏を推薦するとした上で、他候補を応援することを禁じた。あて先は、「地域総支部長・選挙区支部長殿、各級議員殿」で、文書の発行者は「自由民主党東京都支部連合会会長 石原伸晃氏、幹事長内田茂氏、党紀委員長野沢太三氏」だ。
【推薦外の候補支援を禁じた自民党都連の「脅迫状」】
除名という処分は戦時中における非国民と同じ心象から為される。仲間から外し、敵認定することで、相手から集団の利益を奪う狙いがある。「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」という。創価学会も自民党も除名をちらつかせることで小人をつくろうとしている。組織の神経症的な反応の裏側には、統治能力を欠くことに対するストレスが窺える。最初から指導・説得を放棄しているのだから、リーダーは不要で官僚がいれば組織は回るとでも思っているのだろう。
自民党は除名という言葉で党員を脅して都知事選に敗れた。一方、創価学会には残念ながら民意を反映する機会がない。