お金を出すのはいいけれど、何に使われるのか詳しく知りたい――。募金に応じるとき、自分のお金がどのように世の中の役に立つかを知りたいと思う人もいるだろう。そんな要望にインターネットを使ってこたえるシステムを愛知県立五条高校の2人の生徒が考えた。▼寄付の「見える化」だ。スーパーや書店などに、お金を収納して、いつ、いくら入ったかも記録する「募金機」を置く。寄付した人は登録番号をもらい、自分の端末で専用サイトを開けて寄付先を指定する。後日、「今月集まったお金は300人分のワクチンになりました」などと使い道が載る仕組みだ。工夫はまだある。▼サイトを運営する会社を設立し、募金機を置く店から新商品やイベントのネット広告をとって経営していく点だ。息長く日本に寄付文化を根づかせていこうという問題意識が評価され、日本政策金融公庫が主催する高校生のビジネスプラン大会で最優秀賞を獲得した。日本の高校生のベンチャー魂もなかなかのものだろう。▼「プランづくりでくじけそうにもなったけれど、学校の仲間に応援してもらい、先生も放課後に指導してくれた」。2人の話からわかるのは早い時期から起業家精神を育むことの大切さだ。政府は創業支援へ補助制度の拡充に取り組む。そうした政策も意味はあるが、起業を増やそうとするなら、学校教育の役割も大きい。
【「春秋」/日本経済新聞 2015-02-10】
・「第2回 創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ」グランプリは、愛知県立五条高等学校(プラン名「バタフライエフェクト」)に決定(PDF)