2017-08-15

『騎士団長殺し』と創価学会の反戦出版

 朝日新聞の慰安婦捏造記事が発覚してから毎日新聞とローカル紙が大きく左旋回を始めた。そして安倍首相が憲法改正に踏み込んだメッセージを発表(5月3日)するとテレビも一斉に反安倍報道一色となった。左翼勢力の最後の悪あがきか。

「戦場では人は何にでもなる」

 村上春樹さんがこの春に発表した長編小説「騎士団長殺し」(全2巻)は、歴史の暗部と向き合うことを読者に求める作品である。
 登場人物の学生は20歳で徴兵されて1937年の南京攻略戦に加わり、復学した後に自殺する。遺書には、上官に命令され、軍刀で捕虜の首を切らされた経験などがつづられていた。
 この学生が所属したのが、勇猛果敢で名をはせた熊本第六師団という設定である。
 まるで通過儀礼のように、新兵に銃剣で捕虜を殺させる場面は、79年に刊行された元兵士の証言集「揚子江が哭いている―熊本第六師団大陸出兵の記録」(創価学会青年部反戦出版委員会編)にも登場する。
 死が常に身近にある戦場の最前線だ。「気も荒くなり、また、敵愾(てきがい)心も増す(中略)民間人に対して、さらには赤ん坊にまで目をそむけたくなるような仕打ちをしていく」
「殺すのがあたりまえという感覚」から「ただ殺すのはおもしろくない、少し変わった殺し方を」と思うようになったという証言もある。

西日本新聞 2017年08月14日