・偶然性と因果律
・『本当にあった嘘のような話 「偶然の一致」のミステリーを探る』マーティン・プリマー、ブライアン・キング
・『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ
続きを。ここにサイコロがある。1か2が出た場合を罰とし、5か6が出た場合を功徳と仮定する。サイコロを振るのは1日1回である。それほど突飛な仮定でもない。
ある創価学会員が元気一杯に活動報告をした。「6が5回連続で出ました!」と。この確率は簡単に計算できる。1/6*6*6*6*6=1/7776だ。人生が80年だとすれば29220日となる。ってことはだよ、「6が5回連続」する確率は一生の中で3.76回ある。ま、他の数字も同様なんだけどね。
そして情報はバイアスを通して選別される。創価学会員は「1が5回連続」した法華講員に注目し、「6が5回連続」した学会員を持ち上げる。こうした偶然性に物語を施したのが功徳と罰であろう。
心理学者はこの種の間違いを「可用性バイアス」と呼んでいる。われわれは過去を再構築する際、もっとも生き生きした記憶、それゆえもっとも回想しやすい記憶に、保証のない重要性を授けてしまうのだ。
【『たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する』レナード・ムロディナウ:田中三彦訳(ダイヤモンド社、2009年)】
たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する
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