虚偽を虚偽として見、虚偽の中に真実を見、そして真実を真実として見ること――精神を解放させるのはこれなのである。
【『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(春秋社、1984年/新装版、2005年)】
このわずかな一言が全4巻のエッセンスである。虚偽を虚偽と見破れば真実が浮かんでくる。そして虚偽の中に社会(組織)や人間の実相が見えてくる。経験も知識も要らない。ただ、ありのままに虚偽を虚偽と見抜くことが自由へ直結する。自分をコントロールしようとする一切を拒絶し、時間やカネを奪おうとする目論見に騙(だま)されてはならない。対価を求めるのは商売だ。