2016-04-29

情報の読み解き方



 人は知らないことを言われると信じてしまう。で、人は知っていることよりも知らないことの方が圧倒的に多い。信の裏側に無知が存在する。読書の危うさもここにある。活字情報は信憑性(しんぴょうせい)が一段高いため、疑うにはそれ相応の知識が求められよう。新聞に書いてある嘘を見抜ける人は少ない。

 ここに相反する情報がある。ネット上には悪意のないデマが氾濫(はんらん)している。ツイッターの場合だと、まずツイートの年月日部分をクリックしてリプライ(返信)を見てみる。それだけでも情報の明度が変わる。上の投稿者は「ステージ」(進行度)と「グループ」(腫瘍の性質)を誤記している。不正確な言葉で構築された論理は始めから破綻(はたん)していると考えてよい。

 そうでありながらも最初の投稿のリツイート数が多いところに情報リテラシーの問題がある。たぶんロキソニンという薬は広く知られているのだろう。

 後の投稿者がツイート引用ではなく画像で紹介したのは不毛な議論を避けたためか。

 体験に重みがあるなら、あらゆる健康食品のマルチ商法は正当化できてしまう。

 科学者は、体験談を証拠とはみなさない。

【『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』スーザン・A・クランシー:林雅代訳(ハヤカワ文庫、2006年)】

 そして宇宙人に誘拐されたアメリカ人は400万人もいる(『本当にあった嘘のような話 「偶然の一致」のミステリーを探る』マーティン・プリマー、ブライアン・キング、有沢善樹、他訳、アスペクト、2004年)。体験はバイアス(歪み)に彩られている。相関関係を因果関係と誤って認識しているケースが多い(擬似相関)。

 相反する情報を吟味するところに情報を読み解く鍵がある。

なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか (ハヤカワ文庫NF)本当にあった嘘のような話 (アスペクト文庫)




【追記】5月1日


 削除したということは誤った情報を発信した自覚があるのだろう。にもかかわらず、この言い草である。飽くまでも自分の非を認めようとしない態度が、「痛い信者」を彷彿(ほうふつ)とさせる。