2016-04-24

フードファディズム

 フードファディズムなる言葉を最近知った。特定の食べ物や栄養が健康を左右すると過大に信じることで、疑似科学もどきといってよい。テレビ番組「発掘!あるある大事典」( 関西テレビ)で納豆のダイエット効果が放映されるや否や、日本中のスーパーで納豆が品切れとなった。後に捏造が発覚し、番組は打ち切られた(2007年)。ファディズム(のめり込み)とファシズム(全体主義)は音もさることながら行動もよく似ている。私は近頃、玄米食・自然塩・無添加味噌に凝(こ)っているのだが、だからといってマクロビオティックを支持しているわけではない。「これさえ食べれば健康になれる」との思い込みは、「これさえ信じれば幸せになれる」という錯覚と似ている。すべての宗教は「信仰ファディズム」といってよいのではないか。そして現代社会では宗教に取って代わって「科学」や「マネー」が新たなファディズムとなりつつある。「フードファディズム」という言葉を日本に紹介した高橋久仁子(群馬大学教授)の本を読んだ。極めて科学的・合理的な批判を展開しているが、そんな彼女ですら自分の足元が見えていない。そもそも栄養学は科学なのか? 摂取カロリーは100%燃焼する前提となっているが証拠はあるのか? 戦後、栄養学が推進してきた動物性蛋白質の摂取は正しかったのか? 結果的に癌患者を増加させたのは栄養学者ではなかったのか?――などなど疑問はいくらでも出てくる。

「食べもの神話」の落とし穴―巷にはびこるフードファディズム (ブルーバックス)