「潮」71年9月号の特集は「日本人の朝鮮人に対する虐待と差別―植民地支配と強制連行の記録」で、 水木しげるの他には金達寿、呉林俊、藤島宇内、井上光晴らが執筆。潮は言うまでもなく創価学会系の雑誌だが、かつての創価学会がこのように社会的に重大な問題に切り込んでいたのを忘れてはならない
— 岸本元 (@bowwowolf) 2015, 12月 1
「社会的に重大な問題に切り込んでいた」と言い切るのは甚だ疑問である。1971年といえば、時代の回転がまだ左巻きであった。知識人とは左翼を意味した。創価学会は新興宗教のため、日本の伝統を否定的に扱う傾向が強い。結果的に反日・左翼的な方向性に陥りがちだ。この流れは現在にまで受け継がれており、具体的には徳留絹枝〈とくどめ・きぬえ〉による『アンブロークン』紹介記事「外国人捕虜の物語が日本人に問いかけるもの」(『潮』2012年9月号)がある。私が知ったのは丸谷元人〈まるたに・はじめ〉著『日本軍は本当に「残虐」だったのか 反日プロパガンダとしての日本軍の蛮行』(2014年)でのこと。『アンブロークン』はアンジェリーナ・ジョリー監督により映画化される。どちらもアメリカでは評価が高いようだ。一般論として日本軍批判は積極的に行われて然るべきだと考える。ただし最低限でも第一次世界大戦後のパリ講和会議で日本が「人種的差別撤廃提案」をしたことや、アメリカにおける排日移民法(1924年)を踏まえるのが当然である。『潮』の左翼偏向ぶりは本多勝一の「貧困なる精神」を連載したことからも明らかだろう。10代から20代にかけて私は『潮』を熟読し、本多勝一を愛読してきた。気づかぬうちに「心情左翼」(小林よしのりによる造語「サヨク」と同義)となっていた。こうした流れは左翼のプロパガンダによるものではなく、マッカーサーによる占領政策の影響が現在にまで及んでいる。