■来春統一地方選と連動
公明党が、来年夏の参院選福岡選挙区(改選3)で、独自候補の擁立に向けて最終調整を進めていることが20日、分かった。複数の党幹部が認めた。今年7月にも人選を終え、選挙態勢に入る。同選挙区では、連立を組む自民党も現職に加えた「2人目」の擁立を模索する。民進党の現職もおり、3つの議席をめぐる前哨戦が激しくなる。(村上智博)
来夏の参院選では、自民党の松山政司氏(59)と、民進党の野田国義氏(59)の現職2人が改選を迎える。
福岡選挙区は平成28年参院選から、改選数が2から3に増えた。
公明党は、この増えた議席を見据えて、水面下で候補者選びを進め、既に数人に絞り込んだという。支持母体の創価学会の意向も踏まえ、7月にも最終的な人選をする。
同党幹部は「国際的な視野を持ち、選挙に勝てる即戦力を選びたい」と語った。同党福岡県本部の幹部も「不戦敗はない。顔の見える戦いをする」と話した。
公明党は危機感を強める。
昨年10月の衆院選では、全国の比例ブロックの得票数が、自民党との選挙協力を始めた平成12年以来初めて、700万票を割り込んだ。九州ブロックも102万票で、目標の4議席に届かなかった。
来年は春に統一選が、夏に参院選がある。こうして選挙を通じて党勢を回復しなければ、与党の中でさらに埋没しかねない。
その中で福岡など全国7選挙区を重点区に設定し、人選を急ぎ、選挙の準備に入りたい意向だ。
また、党の足腰を鍛え、独自性をより強く打ち出すため、今月から、「子育て」「介護」「防災・減災」などをテーマに、有権者を対象にしたアンケート活動を始めた。地方議員らが選挙区を回る。アンケート結果を、統一選や参院選での公約に反映させる。
一方、福岡選挙区では、麻生太郎副総理兼財務相が今月15日、自民党から2人擁立の考えを示した。
共産党は昨年12月には直方市議の新人、河野祥子氏(37)の擁立を発表した。立憲民主党も、独自候補を模索する。
民進党の現職、野田氏は再選出馬への意欲は示す。ただ、同党と希望の党の合流問題もあり、立憲民主党も含め、さまざまな政党からの出馬を選択肢として、検討しているもようだ。
平成28年の参院選福岡選挙区では、自民党の大家敏志氏(50)、民進党の古賀之士氏(59)、公明党の高瀬弘美氏(36)の3氏が当選した。
与党内では、独自に高瀬氏を擁立した公明党に対し、自民党は全国の選挙協力を重視し、2人目を立てなかった。さらに高瀬氏を推薦した。
来夏の参院選でも、独自候補擁立を進める公明党と、自民党の関係が選挙構図の焦点となる。
【産経ニュース 2018-04-21】