2018-05-24

左翼思想の害毒

 分裂した民主党勢力や朝日新聞・共同通信(ローカル紙に社説や記事を配信)・TBSなどが左翼的な立場を鮮明にして安倍政権批判に血道を上げている。もはや焦りを隠そうともせず支離滅裂な姿勢を恥じることもなく政争のための政争を繰り広げる。

 私の世代以前は完全に左翼思想の害毒に冒されている。創価学会員であれば尚更で、『潮』誌上に連載されていた本多勝一の「貧困なる精神」を愛読していた人も多いはずだ。私は創刊された『週刊金曜日』も数年にわたって購入していた。1990年代以前において知識人とは左翼であり、あまりにも数が多すぎて左翼という事実すら意識されていなかった。

 開高健〈かいこう・たけし〉の盟友である谷沢永一〈たにざわ・えいいち〉が保守主義の旗幟(きし)を上げた時、ファンであった我々は冷笑をもって答えた。「新しい歴史教科書をつくる会」が結成(1996年)された際は「オイオイ、軍国主義の復活かよ」と嘲り笑った。「チャンネル桜」(2004年設立)を見る者はネトウヨ(ネット右翼の略称)と呼ばれた。

 ところが、である。実は彼らこそが「目覚めた人々」だった。私が日本の近代史に目覚めたのは2011年以降のこと。たぶん150冊くらい読んできた。もちろん玉石混淆(ぎょくせきこんこう)である。日本万歳本も多い。ま、長らく続いた自虐史観に対する反動に底の浅いものがあるのも致し方ないように思う。

 で、読んだからといってわかるものでない。調べれば調べるほどわからなくなることも多いのだ。例えば明治維新におけるユダヤ資本の役割、二・二六事件の歴史的意味、そして近衛文麿の評価など。

 それでもGHQが行った「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画)を知るだけでも迷妄が晴れる。

 あれほど人気のあった本多勝一の嘘が暴かれるようになり、かつて本多が糾弾した山本七平が広く読まれている状況が左翼の凋落(ちょうらく)を雄弁に物語っている。

 本当であれば尊皇社会主義が出てくるべきなのだが、かつての青年将校はどこにもいないようだ。