財務について
純真なる会員の学会活動において、現在最大に疑念を抱き、もっとも苦悩しているのは財務のことであります。昭和五十七年より事始まり、今年は五年目、毎年毎年何という暴挙の財務が行われ、そしてこれから何年続けるつもりなのでしょうか。
一、地区幹部は少なくとも十万円以上すべきである。そうしない幹部は個人指導せよ。
一、現在もっている預貯金全部を出すのは当たり前だ。それにどれ程上乗せするかが信心の戦だ。
一、各支部で十万円以上出す人を三十人以上作れ。
一、一口、二口しか出さない人は信心がない証拠だ。
一、支部内で百万円以上の大口を何人作るかが、支部長、婦人部長の戦いだ。
一、個人指導、家庭指導で三口以下の財務部員がいないようにする。
このような指導(?)が、県・圏の幹部から公然と行われています。県(圏)で目標額が設定され、それが本部から支部に割振られ、それを目ざして支部幹部等が悪戦苦闘するという図式は、今や大半の県でなされているようです。納金日直前になると、各組織で各人の納金額読みをして、集金額予測を行い、最後の上積作戦を協議する姿もあちこちに展開されているようです。どこかの政党の票読みに似て何という醜状でしょうか。あるいは売上げ目標に向って社員にノルマを課し、頑張らせている企業の営業活動とどこが違っているのでしょうか。古くからまじめに励んできた幹部が(外部の批判者ではありません)自嘲気味に、「今や創価学会株式会社だからな」とぼやいている声は、恐らく先生のところには届いていないと思います。
“暴挙財務”の第一歩は、財務部員増加の啓蒙運動(五十七年度)から始まりました。土台このことからして本来の学会伝統の精神からはずれています。信心強盛なる会員で、報恩感謝の為に是非部員にならせてほしいと志願する人の中から、生活内容、家族の信心まで配慮して厳選し、部員任命を行うというあり方こそ学会の金銭に対する良心と良識を示すすばらしい一点でありました。それと、何が何でも百%の部員(五十七年度は七十%、遂には百%となる)を作るのとは、真向から相反する財務路線の転換です。多くのまじめな幹部は、この本部方針にまず首をかしげました。でも信心未熟な人や、夫が反対の婦人に対する啓蒙には、少なからぬ抵抗感と良心の呵責を受けつつも、やむを得ず部員にせざるをえませんでした。部員啓蒙は、ついには苦しまぎれに幼児、乳児にまでエスカレートしたところもあります。
【「誠諫(せいかん)の書」福島源次郎】